こんにちは! 伝える・伝わるデザイン、中村麻奈美です。
ローソンのパッケージ色々言われてますね。
「かわいい」「おしゃれ」と「わかりにくい」「探しにくい」と意見が二分しているようです。
私も新パッケージはかわいいと思うと同時にわかりにくい面もあるなとも思います。
今回はそれがいい悪いではなく
デザインの本質を絡めてお話していきますね。
前提として、ローソンをはじめとするコンビニは、
老若男女すべてを顧客対象としているということです。
もしローソンの客層が若年層メインだったら、
このパッケージのおしゃれさはアリなのではないかと思います。
その理由は後ほどご説明します。
ローソンのパッケージ買ってみた
上記は私がローソンで買ったもの。
分かりやすいと思ったものと分かりにくいと思ったものを分けてみました。
(ちなみに全部おいしかった。かぼちゃはも少し薄味が好みですが)
右のサラダチキン。
やはり、中身が見えているものはとても認識しやすいです。
商品によっては中身を見せるのが無理なものもありますが
見せられるものであればこのくらいは見せたいところです。
真ん中の商品はキャベツの千切りですが、見えている部分が少ないので
私的にはもっと見えた方がいいかなと思います。下半分は透明でいいかな。
かわいいんですけどね。
やっぱ並んでると他のミックスサラダ類があるのでわかりにくいです。
左のかぼちゃサラダは中身が全く見えてません。
判別の材料といえば、文字と小さなデザインのみです。
慣れれば問題ないですが、ぱっと見での判別は難易度高めだと思います。
ではどうするか。
私だったらどうデザインするかをざっくり作ってみました。
こんなとか
こんな感じでしょうか。
私はもともと販促畑の人間なので、
お客様に認知していただいてなんぼという感覚があります。
・・・言っちゃなんですが販促物はちょっとダサめです。
アピール強めってちょっとダサい感じがしませんか。
そういうもんなんです。「わかりやすい」はちょっとダサいんです。仕方ないんです。
おしゃれとわかりやすさは共存が難しい
「わかりやすい」はちょっとダサい
ということは、逆に「おしゃれ」は「わかりにくい」ということでもあります。
おしゃれはどこか不便さを伴うものであり、
わかりやすさやラクさのような「機能性」からはちょっと遠いところにあります。
使う人が道具に寄って使わざるを得ないというか。
例えば、今目についたもので言えば、扇風機。
オシャレな扇風機と言えば、ダイソンですかね。安易?
初めて見た時にはどこにスイッチがあるのか全然わかりませんでした。
そこがまたカッコいいところだったりするのですけど。
一方、昔ながらの扇風機は目立つところに「切・弱・中・強」と書いてあって
ボタンの形も明らかに「押してね」という形。
誰が見てもわかるような作りになってます。
もう一つ、例えばピンヒール。
颯爽と歩く姿は見る人を惹きつけますが、履いている人は結構大変です。
慣れていなければ足が痛くて泣いてしまうほど。→私のこと。ちょっとヒールが高くてもツラい。
オシャレは忍耐なんてよく言ったもんです。
ピンヒールを履くために足裏を鍛えている人もいらっしゃるくらいです。
一方、機能性を求めるならウォーキングシューズでしょうか。
ここで言いたいのは、おしゃれと機能性を同時に実現させるのは難しいということです。
ダイソンの扇風機に、大きく「切・弱・中・強」と書いてあったら興覚めでしょう。
ヒールは高いから足が長く見えてかっこいいのであって
履きやすさを求めて低いヒールにすれば、それはかつて持っていたかっこよさは消え去ります。
おしゃれがダメというわけではありません。
おしゃれ かつ機能性を高くするのは
無理とは言いませんが、簡単なことではないと言いたいのです。
おしゃれ20・機能80にするのか、おしゃれ80・機能20にするのか
それとも50・50にするのか。
この相反する2つの落としどころを、どうつけるかがカギになります。
そしてその落としどころのつけかたは、
デザイナーの感覚でも、経営者の感覚でもなく
最終的には消費者の感覚、目線を持って決めることなのです。
一律にデザインを変えることの弊害
パッケージデザインは、どうしたら消費者に気づいてもらえるか、
おいしそうと思ってもらえるか、手に取ってもらえるかを考察してきたその積み重ねからできています。
それを、全く性質の違うものに変更することは、
それなりに消費者に負担を強いることでもあります。
負担を強いる、つまり「わかりにくくなる」ということ。
これがコンビニではなく、若い客層の店だったならこんなに話題にならなかったかもしれません。
若い人は比較的柔軟性が高く、不便を強いられるよりオシャレであることに魅力を感じて、不便さに慣れる方を選択しやすいからです。
実際はといえば、コンビニは小さな子供から高齢の方も多く使いますし
コンビニエンスという名の通り、「便利」「手間がいらない」店ということを考えれば、もう少し慎重にことを進めてもよかったのではないかと思います。
もう少し慎重に、というのは
例えばおしゃれ70・わかりやすさ30を、50・50から始めてみるというようなことです。
ただ、今回の変更ですごい数のデザインをしたことを考えると
そもそもひとつづつパッケージを検討する余裕がなかったことも容易に想像できます。
いちデザイナーとして、本当に大変だったろうなと思います。
ローソンが作ろうとしたものはパッケージではなくブランド力?
何にせよ、新しいことをするということは何かしら弊害が起きるものです。
しかも今までにやったことのないことをするなら尚更です。
その時すべきことは、いかに素早く軌道修正していくかではないでしょうか。
先日(といってももう結構経ちましたが)、パッケージを再度リニューアルするという発表があったようです。
今回この記事を書くにあたって、ローソンがこのパッケージ変更で目指すところは何だろうと考えました。
結果思ったのは、
ローソンを無印良品のようにしようと思ったのではないか、ということ。
シンプルな世界観でファンを作っていく。
それをコンビニでしていこうと考えたのであれば
すごいチャレンジだなと思います。
これからが楽しみです。