もともと私は趣味でマンガを描いてたこともあり
将来は絵に関係する仕事につきたいな~なんて考えていました。
とはいえ、美術とは全く関係のないフツーの大学で社会学部だった私。
当然就職活動の時は事務関係で仕事を探していたんです。
ところがそんな私を販促デザインの会社が採用してくださり
デザイナーの道の第一歩を歩むことになりました。
めちゃめちゃラッキーだったんです。
ラッキーだったために
その後が大変だったのですが・・・。
長かったダメデザイナー時代
とにかくどうすればデザインができるようになるのか
全くわからず長い間暗中模索でした。
みなさん忙しいので、聞けば教えてくれるけれど
会社には教育という制度もなく
見様見真似でなんとかデザインを出すものの、よい評価をもらえている実感は全くありませんでした。
「四大出身(四年制大学)の人を取るからこうなる(美術系出身以外の人を採用したことへの避難)」という言葉が聞こえてきたことも。
周りのセンスのある人たちのデザインを見ては落ち込む日々でした。
転機
ある時、無理なスケジュールでデザイン提出を求められたことがありました。
しかも結構な案数を提出しなければならず、各チームから数名選出。
その中に私も入っていました。
どうにか自分の分を提出して帰ろうとしたとき、目に入ったのは最近中途で入ってきた男性のデザイン。
クオリティが低く見えたんです。
その時私は自分のデザインセンスをあまり信用していなかったし
別チームの人だったので、おそらく誰か先輩が見てくれてOKを出したのだろうと思い
その時は気にしないで帰りました。
次の日。
上の人たちが集まっており
例の中途の人のデザイン案が、お客様に提出できるレベルではないと問題になっていたようです。
ミーティング後、先輩が私のところにきて
「中村さんは〇〇さんのデザイン見た?」と聞かれました。
見たと答えると、「何も言わなかったんだ」と言われ
それに対して私が何を言ったか忘れてしまったんですが、先輩は
「へー・・中村さんってそうなんだ~・・・」
と言って去っていきました。
その時、あれ、私が変だと思ったらそれは伝えていいのか・・・と強烈に思ったのを覚えています。
それまでの私は、人様にアドバイスできるようなセンスは持ち合わせていないと思い
デザインについて人に何かを言おうなんて思ったことがありませんでした。
でもそれはそれとして、思ったことは人になるべく伝えていこう。
その方がその人のためになる可能性があるからと思えたのは
このことがきっかけだったと思います。
その先輩、すごく変わった人で、思ったことしか言わないというか
とにかく異質な雰囲気の持ち主で、私はひそかに尊敬していました。
彼女がどう思ってその一言を言ったかは今となってはわかりませんが
その一言は、私に大きな影響を与えてくれたのだけは確かです。
ダメデザイナーからの脱却
入社して7年ほどたったころ、自分のチームを持って新人を任されることになりました。
実力があったから というわけではなく
他に人がいないから、という消極的な人選だったと思います。
とにかく無我夢中で教えました。
初めて教えた子は、とにかく熱心で
わからないことは家に帰ってからも電話をしてくるなど
その姿勢はこちらが教えられることもたくさんでした。
もちろんそんな子ばかりではなく
コチラが一生懸命教えても、マイペースすぎて全く響かない子もいたし
逆に本人は一生懸命やっているのに全く上達しない子もいました。
正直うまい教え方じゃなかったし
今思えば教えられる方はたまったもんじゃなかっただろうと思います。
それでもたくさんの人に教えていくうちに、自分の中で色々な知識が整理されていき
自分のデザインにも影響していきました。
時がたち、ふと気付けば
「中村さんならいいデザイン出してくれる」
という評価をもらえるまでになっていたのです。